2013年4月20日土曜日

香りの記憶【数学担当】

花見川沿いをウォーキングしていた時、懐かしい香りがしていた。
最初は何の香りがしているのか、いやもっと言えば香りがしていることも
よくわからなかった。ただ、とても懐かしい思いがこみあげてきて
つい立ち止まってしまったのだ。
そこには、数本のユーカリが真っ白な木肌で、高く空に伸びていた。
「あーこれか…」。ねじれた幹がいかにもユーカリらしく、まっすぐ生えている
周りの木々とはまったく違った面持ちがある。
以前住んでいた家の脇に、ユーカリの並木があって
そこを通るといつも、あの清涼感のある香りがしていた。
ユーカリの木は、育つのが早い分弱い木で
強い風が吹くと枝が折れ、時には根っこから倒れてしまうこともある。
外出しようと車を回したら、ユーカリにさえぎられて通れなかったことがあった。
また、木の実がボトボト落ちてきて、うっかり木の下に車を止めようものなら
あっという間に、ドッド入りの車に変身してしまうのだ。
だからどちらかといえば、迷惑な木であった。
何の思い入れもない木、そしてすっかり忘れていた。
いつものように音楽を聴きながら、ぼんやりと前だけを見つめ
歩いていただけ。だけれど、その瞬間から一気に記憶がよみがえり
いろんな思いが溢れてきた。そして景色も。
「嗅覚は色あせない」以前国ちゃんが書いていたけれど、まさにその通りだと思う。
他にも、初めてのお給料で買った口紅の香り。この香りに思い入れがあるから
口紅はいつもこのブランドのものを買いたくなる。
昔よく通ったクラフトショップの店内の匂い。最近になってこの匂いがする
近所の別のクラフトショップに入ったとき、ちょっとうれしかった。

先のユーカリの話。なぜだかわからないけれど、香りがしたのはその数週間だけ。
懐かしい思い出に浸りたくて、時々花見川へ行くけれどいつもフラれている。
時期があるのだろうか…分からないから今日も様子をみに行ってしまうのだ。

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